【完】幸せをくれたあなたに。
ムシャクシャする、この気持ち。
わかってるよ……。
これが嫉妬なんだって。
でも、こうなるんなら、私じゃなくて藍那が委員になればよかったじゃん。
「三浦さん?」
なかなか話さない私に、気を遣ったのか、松井くんが話しかけてくれる。
私の名前を呼んだその松井くんの声に、
「……っ!」
スウ―っと頬へと流れ落ちる雫。
どうして……。
私は泣いているのだろう……。
私は……
「琴!?」
気づいたら走ってた。
そして私には、これが夢なのかわからなかった。
藍那じゃなく、あの懐かしい君の声が私を呼んだ。
懐かしい君の声が、『琴』と呼んだこと──……。