【完】幸せをくれたあなたに。




「昨日なんかあったの?」


そう小声で聞いてきた。


藍那は聞こえてないだろう。


泣いていたなんて言えないし……。

なんて黙っていると、松井くんは話を続けた。



「……泣いてたよね? 昨日」


「……え?」


今、なんて……?

私は一瞬、頭の中が真っ白になった。


バレてる……?


でも、藍那は気づいてないはず。


「え……っと、なんかごめん」


松井くんは、なにかを接したように謝ってきた。


「泣いてないよ……私」

小さく呟いたウソに松井くんは「そっか」と呟いた。


だけど、その後も授業には集中できなかった。



< 106 / 204 >

この作品をシェア

pagetop