【完】幸せをくれたあなたに。
「昨日なんかあったの?」
そう小声で聞いてきた。
藍那は聞こえてないだろう。
泣いていたなんて言えないし……。
なんて黙っていると、松井くんは話を続けた。
「……泣いてたよね? 昨日」
「……え?」
今、なんて……?
私は一瞬、頭の中が真っ白になった。
バレてる……?
でも、藍那は気づいてないはず。
「え……っと、なんかごめん」
松井くんは、なにかを接したように謝ってきた。
「泣いてないよ……私」
小さく呟いたウソに松井くんは「そっか」と呟いた。
だけど、その後も授業には集中できなかった。