鬼伐桃史譚 英桃
女の鬼が手にしている槍もまた、鮮血の赤で染まっていた。
「わかっているよ。母上」
そこへ新たにやって来たもう一体の子鬼が頷いた。
その子鬼も男の子で、左手に槍を持つ子鬼同様の背格好をしており、右の手に三つ叉状の長い槍を持っている。
「さて、梅姚姫と桜華姫を探すとしようかねぇ」
目指すは御方をその身に宿した姫ふたり。
母鬼と思しき鬼女はそう言うと、子鬼らを連れて轟々とうねる炎の渦へと消えゆく……。