懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
そして、嵐の服を引き上げ腹部をさらす。


嵐の鍛えられた腹筋が、荒い呼吸と共に激しく上下している。


嵐は泣いていた。


声も出さず、みんなを威圧的な態度で抑え込んでいたあの嵐が、1人で泣いていた。


「百合早くしろ」


早くしないと自分の決心も鈍ってしまいそうだった。


このまま嵐を解放してしまいそうだった。


でも、そんな事をすればきっとこの部屋から出られなくなってしまう。


百合がゴクリと唾を飲み込み、嵐に近づいた。


「なぁ……頼むよ……やめてくれよ……」


涙でかすれた声で訴える嵐。


百合は両手でしっかりと包丁を握りしめていた。


その手は微かに震えているが、嵐の腹部を確実に捉えている。
< 133 / 281 >

この作品をシェア

pagetop