キミのとなり



「ごっめーん!!遅くなっちゃって!!
お弁当忘れたからパン買ってきた!!」



「お前そんなにパン食うの?」



「育ち盛りなんだからいいでしょ???笑」



「まぁいいけど。で話って何?」



私は昨日の返事をするために
亜嵐を屋上へ呼んでいた。
何度も何度も自分の気持ちを
確かめたし、たくさん考えた。
うまく伝えれないかもしれないけど
もう、言うって決めたんだ。



「あのね、あたしずっとずっと飛雅の
隣にいたから、他の男の子がどんな
人なのかってあまり良く知らなくて、
それで気づいたら怖くなってたの。
だから飛雅の隣を離れられなかったの。
それもずっとね。」



「うん。」


亜嵐は優しくうなづきながら
聞いてくれていた。



「先輩達にあんなことされて余計に
怖くなって、同じクラスでいつも
一緒に生活してる男の子でされも
怖くなっちゃったの。」



私は気づいたら泣いていた。
涙が止まらずうまく話せなくなっていた。
こんなはずじゃなかったのに…。
最後まで伝えたい。そう思っていると
急に腕を引っ張られ視界が真っ暗に。



「もういい。もう話さなくていい。」



「…??」



私は亜嵐の腕の中に
すっぽりと埋まっていた。



「飛雅にこのこと伝えてないだろ。
なんでこんなんになるまで我慢した?
お前の周りには夏菜だって俺だって
飛雅だっているんだぞ?
無理して笑ってる事だって知ってる。」



亜嵐はそう言って私を
ギュッと力強く抱きしめた。



「お前は何もかも1人で頑張りすぎ。
言わなきゃわかんねーことだって
沢山あんだから。…でも、」



そう言って亜嵐は黙り込んでしまった。
どうしたんだろうと思い聞こうとすると



「気づいてやれなくて、ごめんな。」



そう言われた瞬間、涙が溢れだした。




< 32 / 35 >

この作品をシェア

pagetop