大海原を抱きしめて
昼の休憩を終えて事務所に戻ると、佐伯さんが荷物を届けて居座っていた。
話し相手の谷上さんが、何やら企んでいる顔で私を呼ぶ。
「佐伯さんのことどう思ってる?」
なに言ってんの!とあせるのは、佐伯さん。
事務所には誰もいないけど、奥には笠岡さんがいる。
「どういう意味でですか?」
「そりゃ、そういう意味で」
つまり、男として見てるか?ってことでしょうか。
「顔は普通だし、優しいし、大事にしてくれるよ、きっと。年だって5歳しか離れてない。ちょうどいいんじゃない?」
5つしか離れてない。ちょうどいい。
それが世間の基準なんですか。
じゃあ私の恋は、間違ってる?
ずきずきと痛む心。
二人に、私を苦しめているつもりはないんだろうけど。