大海原を抱きしめて
4.大自然の中で
4.大自然の中で
桜が満開となった四月の末。
休みの日は昼まで寝る主義の私は、昼前だというのに出かけるために玄関で靴を履いている。
履いているというか、履かされている。半強制的に。
幸いにも家には誰もいないから、どこにもぶつけようのない文句をぶつくさと吐きながら慌てて家中を走り回っても、誰にも心配されずに済んだ。
急げば急ぐほどうまく履けないスニーカーに苛立ちながらも、飛び出した玄関の先には、すべての苛立ちの元凶。
スカイラインからはムーディーな洋楽が今日も流れている。
空はさわやかな青。雲の割合の少ない、初夏の空。
私の好きな空。堪能する心の余裕なんてないけど。