love mission
「俺がフラれたのは、やっぱりお前のせいだと思うんだ、和!」
「はぁ?なんで俺だよ」
「だって、お前、植木の影に隠れてただろ?」
「ああ、そうだな。(モグモグ)」
「俺と税所先輩が向かいあってて、俺の後ろから見てただろ?」
「ああ、確かにそうだな。(ゴックン)」
「絶対バレバレだったと思うんだよ。
お前が見てたことが。つーか、いい加減食うのをやめろ!」
5本目の焼き鳥に伸ばしていた手を洋右にはたかれ、それは阻止されてしまった。
「見えてたからって、お前が渡したラブレタービリビリに破いて、ついでにグリグリ踏みつけて颯爽と去っていったっていうのか?」
「うう、言うな!皆まで言うな!
また悲しくなるから!」
「悪い悪い」
「お前は絶対悪いと思ってないだろう、ニヤニヤしてるもん!」
「なぬ」
慌てて(慌てたふり)手で頬を下に下げる。
「もういい、この愚痴に付き合ってくれてるだけで有り難いと思ってる」
はぁ、と溜め息をつき、洋右は焼き鳥に食らいついた。
「やっぱりうめー…」
「そうだろ!あんちゃんたち、これサービス」
店のオヤジさんが、気を利かせてねぎまを5本も追加してくれた。
「あざっす」
「美味しくいただきます」
「あんちゃんたちよォ、若けーときっつうのはフラれるのは日常茶飯事よ。
年取ると、告白するだのフラれるだのも出来なくなるから今のうちに楽しんどけィ」
すると、洋右は目に涙を浮かべて
「お、おおおやっさん…。俺、頑張るよォ」
「まあ、隣のあんちゃんはフラれることより、告白される方が多いだろ。
イケメンだもんなぁ」
オヤジさんは僕を見てそう言った。
「そんなことないっスよ~」
と、一応謙遜しとくが、死んだような目で僕を見る洋右には無効だった。
そのあと、ワリカンだと思っていた食事代、2500円は僕だけで払った。