ラグタイム
翼にも兄貴の状況を話しているのかと思ったけど、そうじゃなかったみたいだ。

あたしは翼に兄貴は関西に向かって行ったこと、そこで消息が途切れてしまったことを話した。

ただし、女性客に手を出したうえに駆け落ちをしたと言うところは除いた。

「なるほどね。

どちらにしろ、早く行方がわかることを祈るしかないね」

話を聞き終えた翼は首を縦に振ってうなずいた。

「本当に、兄貴はどこで何をしているのだろう…?」

そう言った後、あたしは窓の外に視線を向けた。

窓を揺らしている雨風は勢力が弱まるどころか、さっきよりも強くなっているような気がした。
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