ラグタイム
「まあ、寝不足になるのは当然のことだよな。

俺もいつもよりも早くに目が覚めてしまったくらいだし」

武人はやれやれと言うように息を吐いた。

「兄貴、本当にどうなっちゃうんだろう…?」

呟くように言ったあたしに、
「理由はあるのかも知れないけど…本当に、どうなるんだろうな」

武人も呟くように答えた。

あたしたちは大きく息を吐いた後、ホールへと足を向かわせた。

ホールにはすでに翼と藤本さんと黒崎さんの姿があった。

そして、
「――兄貴…」

「――朝貴…」

兄貴の姿もあった。

久しぶりの対面に、あたしと武人の声がそろった。
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