今夜、上司と恋します
「その寿と一緒の企画を担当する事になったんだが、寿が大きなミスをしてな。
何故か怒られていたのは坂本だった。
ハッキリ言ってもよかったのに、坂本は文句や言い訳一つ言わずに謝罪していた。
寿の事も何も言わずに」
「……ありましたね、そんな事」
あの時は本当に大変だった。
そのお陰で私は連日残業続きだったんだから。
「そのすぐ後に、女子社員が寿の愚痴で盛り上がっていたんだがそこに坂本が来てな。
今回の被害者は坂本だって、坂本にそいつらが寄って来たんだが、坂本はその女子社員達に言ったんだ。
“私がしっかりしてなかったから、ミスが起きた。確認してたらミスは起きなかった。
だから、私のミスだ”ってな」
「……言いましたっけ。私」
「覚えてない程に、自然と出た言葉なんだろう。
寿を責めるのは違うってキッパリ言った坂本を見て、まだ20代の子が大したもんだって驚いたのを覚えている」
「……」
「坂本はすぐに自分を責める。きっと、今まで付き合った男にも自分がもっとああしてたらって思うんだろう」
「……」
「そこは長所でもあるが、短所でもある。坂本はもっと誰かを責めていい」
「……」
「全てを自分の中に抱えていたら、坂本はいつか潰れる」
自然と涙が私の目から零れ落ちる。
そんな事、初めて言われた。
男運が悪い私の所為だって、今まで付き合った人を悪く言わずに自分を責めてた。