今夜、上司と恋します
「絶対何か言ったりしないでよ」
「……多分」
「絶対だよ!もし何か言ったら私、お台場行かないからね!」
「え。それ持って来るのは卑怯だわ」
「うっさい。しょうがないよ、私に興味ないんだから。
いいんだよ」
「……そんな悲しい事言うなよ」
「だって、実際そうだし」
捻くれてるとか、拗ねてるとか、そういうんじゃなくて。
本当に、本心で言ってる。
広瀬は全然納得してないって顔だったけど。
なんとなく気まずい空気が流れた私達の間に、明るい声が響いた。
「あー。広瀬!それと蛍ちゃん!」
その声の犯人は野々村さんだった。
私達の元へ走り寄ると、ニッコニコ笑う。
「昨日はお疲れ、広瀬!」
「ああ、お疲れ」
「あれ。何か広瀬、怒ってる?」
「いや、別に」
「ふうん。まあ、何も聞かないでおく。
あ、蛍ちゃん」
少しだけ素っ気ない広瀬に疑問を持ちつつも、然程気にせず野々村さんはこっちに会話を振って来る。
突然でちょっとだけ変な声が出た。
「はいっ」
「体調は平気?」
「え?」
体調?
目を真ん丸にして野々村さんを見ると、ニマーって妖しい顔で笑っていた。