今夜、上司と恋します
「いいんだな?明日早朝、お前ん家に行くからな」
「え」
「嫌がらせの如く、インターホン鳴らしてやるわ」
「それ、まじで勘弁。
嘘でしょ?嘘だよね?」
「本気。俺、早起き得意ですからね」
「ごめんなさい。私が悪かったです」
「それでいいんだよ。まったく」
ふふんって意地悪い顔をする広瀬。
こういうのは広瀬の方が何枚も上手だっていう事を忘れていた。
最後に私が折れるハメになるんだ。悔しい。
あははって笑い合ってると、そこに他の社員の声が聞こえてその名前にドキッとした。
「お疲れ様です、佐久間さん」
……佐久間さん。
「ああ、お疲れ様」
そうやって、言葉を返す佐久間さん。
その社員と別れるとこっちに向かって来る。
ふっと視線を上げた時に、私とばちっと目が合った。
「……お疲れ様です」
「…、お疲れ様」
佐久間さんは言葉に詰まらせながらも、返してくれた。
スッと私達の前を通り過ぎて、自分の席に戻るのかと思ったら。
佐久間さんはぴたりとその足を止めた。
私と広瀬は立ち止まった佐久間さんを見る。