今夜、上司と恋します
体裁とかカッコ悪いとか、そんな事どうでもよくなる程、私は佐久間さんを想って涙を流した。
ここまで誰かを好きになる事なんて、もしかしたらこの先ないかもしれない。
もう28だっていうのに、10代の時よりも真剣に人を好きになってる自分がいた。
「……」
「広瀬、ごめん。でも、私は広瀬が優しいとそれに甘えてしまうから。
それは絶対に広瀬を傷付ける」
「……」
「明日も行かない。広瀬と二人で出掛けたりしない。
もう期待させる様な事はしない。
友達としても付き合えない。
……同僚として、会社で顔を合わす事しかしない」
「……」
私の前では笑ってくれるだろうけど、絶対に一人の時に苦しんでる。
私には広瀬がいてくれるのに、広瀬には誰もいないなんて…、そんなの嫌だ。
誰かに話してるからいいとか、そういう事じゃない。
同性の友達では得られないモノが異性の友達にはある。
大差はないと思う。
だけど、少なからず違ってるとこがあるんだ。
「……それが、答えか」
広瀬は掠れた声で、そう呟いた。
視線を伏せながら。
「うん」
どうせなら、嫌って欲しい。
でも、広瀬の事だから。
ホテルから逃げ出した私を許して、支えたいって思ってくれる広瀬だから。
「これで、嫌いになんてならないからな」
そう、言うと思ったよ。