今夜、上司と恋します
私は広瀬に甘えちゃいけないんだ。
私から離れなくちゃいけないんだ。
広瀬を本当に想うのなら。
私は突き離さないといけないんだ。
きっと、広瀬は言えないから。
優しい広瀬は、私みたく“飽きた”なんて絶対に言えないから。
「私…強くなる。広瀬」
「はあ?何だよ、それ」
「広瀬が優しいから、それに甘えて甘えて、甘え過ぎて弱くなってた」
「それで、いいじゃん」
「よくないよ!」
「っ!」
「私は、私は……」
ひゅうっと息を吸い込む。
喉の奥がくっついて、言葉が上手く出せない。
胸も痛くって、ズキズキと痛くって。
だけど、私はちゃんと言わなきゃ。
「広瀬の事を恋愛対象としては好きになれない」
もしも、広瀬の事を恋愛対象と見られる様になっても。
それは佐久間さんの事をちゃんと諦めて、ちゃんと前に進んだ時だ。
“今”では決してない。
それに私は佐久間さんを諦められるだなんて、思ってない。
広瀬が六年も私を好きでいてくれた様に、私もそれぐらい佐久間さんの事を好きでいるかもしれないんだ。