今夜、上司と恋します


「佐久間さん、いつもタバコを吸う時眉間に皺寄ってますよね」



私はクスクスと笑いながら、ベッド脇に落ちていた衣類を拾うと袖を通す。
こうやって、乱雑に落ちていても衣類を拾ってくれたりなんてのはしない。


自分がきちんとハンガーにかければいいだけの話なんだけど、どうしたってここに来ると気持ちが逸ってしまう。


それは佐久間さんも同様みたいだった。



血に飢えた獣の様に、お互いを求め合う私たち。



「クセ、みたいなもんだ」

「クセですか」


タバコを吸う時に、そんなしかめっ面するなら吸わなきゃいいのにって非喫煙者の私は思ってしまうけども。



「坂本は俺を欲しがる時、いつも目が涙目になってる」

「っ!」



シャツのボタンを留めていた手が止まる。
目を見開いて彼を見れば、そんな私を見てクスクスとおかしそうに笑っていた。



「へ、変態!」

「あはは」



声を上げて笑う彼を睨み付けた後、恥ずかしさを隠す様に、ぷいっと顔を背けた。
シャツのボタンを全て留めて、ジャケットを羽織ろうとした時。



私の腕がぐいっと引かれた。

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