今夜、上司と恋します
何だか、私だけ取り残された気分だな。
結婚したり、好きな人がいたり。
そんな事から程遠い場所にいる自分。
羨ましいって思うけど、踏み出せずにいる。
年齢を重ねるごとに臆病になってる気がするな。
「坂本はいねえの?そんな相手」
「私?私は…いないかなあ」
「……そっか」
「今はまだいらないって思ってるからいいんだけどね。
でも、羨ましいかな」
「羨ましい?」
「うん。普通の恋愛がしたいよ、私は」
情熱的で、盛り上がる恋なんてしたいと思ってない。
ドラマみたいな展開も求めてない。
ただ、隣にいるだけで幸せだって思いたい。
平凡で、何の変哲もない恋人だけど、お互いを信頼してる二人。
たまに喧嘩をするけど、次の日には仲直りして笑い合える二人。
簡単な事の様で、実はとっても難しい。
「女ってもっと、こう、小説みたいな恋愛したいんじゃねえの?」
「それは若い子の話じゃない?私はもうババアですからね」
「ああ。成程」
「ババアを否定してよ」
「だって、ねえ?」
「広瀬~?」
「蛍ー!」
キッと広瀬を睨みつけたところで、私達の元に走って来たのは美沙都だった。
私の目の前にいる広瀬を見て、目を真ん丸にしている。