今夜、上司と恋します
「蛍って本当にいい子だし、一途なのに、男運だけは最悪。
だから、こうなってしまったのは仕方ないというか。
裏切られてばっかだと、疲れちゃうんですよ。
歳を取ると特にね」
「……」
「私は蛍が傷付く姿見るの嫌だから。
幸せになって欲しいって思うけど、こればっかりは相手次第ってのもあるし。
不倫じゃなきゃどんな関係でもいいと私は思います」
「……美沙都」
ちょっとじーんと来てる私。
そんな事思ってくれてたんだ。
嬉しいかもしれない。
広瀬は美沙都から私に視線を移すと、口を開く。
「坂本はそれで傷付かないのかよ」
「……」
否定も肯定も出来ない。
そんなのわからない。
これからどうなるかなんてわかんない。
だけど、今佐久間さんを失ったら私は少なからず傷付くと思う。
それがどんな傷なのかはわからないけど。
失恋とか、そんなんじゃなくて。
穴が空いてしまうっていうか、そんな感じ。
「俺は嫌だよ。坂本」
「…広瀬」
「俺は嫌だ」
「……」
どことなく気まずい空気が流れて、私は俯く。
すると、広瀬がガタっと立ち上がった。