今夜、上司と恋します
「……悪い。俺、行くわ」
「え。でも広瀬さんまだ…」
「包んでもらうから大丈夫です。すみません、志村さん」
「え?いえ」
「……広瀬」
ぼそっと小さく広瀬を呼ぶと、広瀬はふっと笑った。
「そんな情けない顔するなよ。
不細工な顔がいつも以上に不細工だぞ」
「…不細工って」
「待ち合わせ時間もそろそろだし。それじゃ、坂本。また会社でな」
ぎこちなく笑った広瀬は、店を後にした。
残された私と美沙都。
広瀬の後ろ姿を見送りながら、ぼそっと美沙都が呟いた。
「……ありゃー蛍の事、好きかもね」
「は!?」
え。何を言ってるの?この子は。
誰が誰を好きだって?
口を開けたまま、呆ける私。
「ヤキモチでしょ。あれって」
「え」
「え」
「……」
二人して顔を見合わせる。
や、きもち?
何で?どうして?てか、どうしてそうなる。
広瀬がそんな女好きじゃなかっただけかもしれないじゃん。