今夜、上司と恋します
「……なあ、まさかとは思うんだけど」
「何?」
「そのキスマークの相手って、佐久間さんじゃないよな?」
「はぁ!?」
驚きと、動揺とで思いっ切り声が出てしまったよ。
ドクンドクンと鼓動が速くなって、変な汗が出て来る。
「な、何変な事言ってるの」
「だって、佐久間さんって坂本にやけに構ってる気がするし」
「そんなの気の所為に決まってるじゃん」
「そうかな」
「そうだよ」
「……だよなあ」
「うん。それに永戸さんといい感じなんでしょ?」
「まあ、お似合いってだけでいい感じとは別じゃね?」
「いい感じだからお似合いに見えるんじゃないの?」
「そうともいうのかな」
「そうだよ」
「だよな。坂本なんか好きにならないよな。あの佐久間さんが」
「……それはちょっと失礼だけど」
不貞腐れながら言った私に、あははって笑った広瀬はいつもの広瀬だった。