ウ・テ・ル・ス
真奈美がバタバタとフルーツ売場へ駆けて行く。実は秋良は、真奈美が発する鈴の音を楽しんでいたのだ。動くごとにチリンチリンと可愛い音を立てる鈴が、姿を見ているより確かに彼女がそこにいることを実感させてくれる。家の中でも、水が欲しいとか、タオル持ってこいと真奈美に言いつけることが増えた。真奈美は人使いが荒くなったと文句を言うが、実は鈴の音がすれば遠ざかっていた秋良が、いつしかその音を近づけたいと思うようになっていたのだ。
やがてニュージーランド産のキウイとともに鈴の音が戻って来た。ふたりは買い物のレジを終えると、真奈美が家から持ってきたエコバッグに詰めて自分達のマンションへ向かった。
「昔ね、妹がオーストラリアやニュージーランドの人は、キウイは皮を剥かないでそのままかじって食べるって話しをテレビで見たらしくて…。しかもその方が栄養にも良いって。」
「俺に出す時面倒だから、そんなこと言っているんじゃないだろうな。」
「そんなことないわよ。それで試してみたのよ。」
「馬鹿な…」
「繊毛のある皮が口に不気味で、酸っぱくて…。翌朝お腹を壊して学校に行けなかったことを思い出すわ。やっぱ、民族によって体質がちがうのね。」
「ガセネタに踊らされたな…。俺にオーストラリアの友達がいるが、そんな習慣ないぞ。」
「えっ、ホント?妹に騙されたわ。」
真奈美が空を見上げて遠い目つきをした。
「お母さんやミナミはどうしているかしらね…。」
そんな真奈美を見て秋良が少し不愉快な顔をする。
「家族に会いたいか?」
「…ごめんなさい、もう言わないわ。契約は守らなくちゃね。」
「ミナミって妹か?」
「ええ。」
「姉さんを騙すなんて…いったいどんな妹なんだ?」
「悪い子じゃないわよ。」
「俺が説教してやる。」
ふたりがマンションの玄関に着くと、レジデントコンシェルジェともめている少女が目に入った。
「ちょうど良いわ。説教してあげて。」
真奈美はそう言うと、笑顔で少女へ向かって駆けていった。
モダンなオープンキッチンで立ち働く真奈美の後ろ姿を、ミナミが驚き顔で眺めている。真奈美はミナミを部屋に入れてくれた秋良に感謝した。もっともそんな彼は書斎に入ったきり出てこない。ミナミはやがて部屋中を眺めまわしインテリアのひとつひとつを値踏みしているようだ。
やがてニュージーランド産のキウイとともに鈴の音が戻って来た。ふたりは買い物のレジを終えると、真奈美が家から持ってきたエコバッグに詰めて自分達のマンションへ向かった。
「昔ね、妹がオーストラリアやニュージーランドの人は、キウイは皮を剥かないでそのままかじって食べるって話しをテレビで見たらしくて…。しかもその方が栄養にも良いって。」
「俺に出す時面倒だから、そんなこと言っているんじゃないだろうな。」
「そんなことないわよ。それで試してみたのよ。」
「馬鹿な…」
「繊毛のある皮が口に不気味で、酸っぱくて…。翌朝お腹を壊して学校に行けなかったことを思い出すわ。やっぱ、民族によって体質がちがうのね。」
「ガセネタに踊らされたな…。俺にオーストラリアの友達がいるが、そんな習慣ないぞ。」
「えっ、ホント?妹に騙されたわ。」
真奈美が空を見上げて遠い目つきをした。
「お母さんやミナミはどうしているかしらね…。」
そんな真奈美を見て秋良が少し不愉快な顔をする。
「家族に会いたいか?」
「…ごめんなさい、もう言わないわ。契約は守らなくちゃね。」
「ミナミって妹か?」
「ええ。」
「姉さんを騙すなんて…いったいどんな妹なんだ?」
「悪い子じゃないわよ。」
「俺が説教してやる。」
ふたりがマンションの玄関に着くと、レジデントコンシェルジェともめている少女が目に入った。
「ちょうど良いわ。説教してあげて。」
真奈美はそう言うと、笑顔で少女へ向かって駆けていった。
モダンなオープンキッチンで立ち働く真奈美の後ろ姿を、ミナミが驚き顔で眺めている。真奈美はミナミを部屋に入れてくれた秋良に感謝した。もっともそんな彼は書斎に入ったきり出てこない。ミナミはやがて部屋中を眺めまわしインテリアのひとつひとつを値踏みしているようだ。