凪の海
 訳も分からず狼狽する姿が滑稽で、怒っていたはずの汀怜奈も笑い出した。
 実は木戸門の言葉を聞かずとも、汀怜奈にはもうわかっていたのだ。芸術や音楽に極めるということはない。しかし、アーティストとしてより高みに導いてくれるものを求めるとすれば、それは師匠や不休の練習ではなく、真摯に生きる人々と正面から向き合うことなのだ。
 みんなの笑い声が空に登っていくのを感じながら、汀怜奈は家族ひとりとりの顔を見つめた。佑樹のおじいさんとおばあさんのロマンスがあって、ここにアブエロがいる。アブエロのロマンスがあって、佑樹がいる。アブエラのロマンスがあって私がいる。そして、佑樹と私のロマンスがあって、ここに愛らしい凪がいるのだ。
 汀怜奈は母らしい優しい瞳で娘を見つめた。それを感じたのか凪は、ヨチヨチとやってくると、摘んだ花を手に持ったまま彼女にギュウをした。
 いのちはロマンスで永遠につながっていく。いったい凪はどんなロマンスで、新しい命をつなげていくのだろうか。
(完)
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