黒王子は不器用な騎士様!?
ガチャッ――バタンッ
「!」
腕を掴まれたまま、黒王子に連れてこられたのは生徒会室だった。
え……何でここ?
生徒会室って、生徒会委員じゃないと入れないんじゃなかったっけ?
必死に、明日香の王子情報を思い出そうとするが、何せまともに聞いていなかったために、思い出したのは王子の名前とクラスだけだった。
神城 斗真――黒王子と呼ばれる男。
『おい。』
生徒会室に入って、私に背を向けたままだった黒王子が、ゆっくりと私の方に振り替える。
無造作に整えられた黒髪は艶やかで、整った眉にスッと伸びている高い鼻、形のいいアーモンド型した右目の斜め下には小さなホクロが特徴的で、それが白い肌によく映えている。薄い唇は荒れてなんかなくて、女の私よりも幾分色っぽい。
……うん、顔は完璧。長身だし、スタイルもよさそうだ。
そりゃあ、学校中の女子が虜になるはずの男だと、私を仏頂面で見下ろしている彼を観察して素直にそう思った。
問題は――…
『何見てんだよ、ウソつき女。』
……この性格だ。