黒王子は不器用な騎士様!?



目が点になっている今の私は、全身が脱力してしまっていて、呆然と黒王子を見上げていた。


「え、でも……修理、しないと――」

『あれはもう昨日修理に出した。』


だったら。

そのお代は私が払うべきなんじゃないの?…私、何か間違ってる?


「あの、修理代、いくら…?まとめては、その……出せないけど、分割だったら、」

『だからいらねーっつってんだろ。さっきの話聞いてなかったわけ?相当なアホなの?』


ッ……!

何だろう。

修理代は払わなくていいと言われて、私にとってはすごく朗報なはずなのに、何でこんなに素直に喜べないんだろう。何でこんなにイライラが溜まっていってるんだろうか。

――ああ、全てコイツの言い方がそうさせているんだと、どこかで冷静になっている自分が理解した。


「じゃ、じゃあ、お詫びって――」

『今週の日曜、空いてるのか。』

「えっ?」


突然飛躍した話に、私はまた目をパチクリとさせた。



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