死神のお仕事

もしかして私、サエキさんがどうとか、死神の立場がどうとかじゃなくて、サエキさん本人の事が知りたかったのかもしれない。

サエキさんは管理する立場だから少し特別だって聞かされた時、それについてこんなに気にならなかった。知りたいとは思うけど、そこに固執しなかったというか。どうせ教えてくれないんでしょ、くらいの気持ちで流せた。

でも、私との関係は?となった時。急に今までの隠し事があるサエキさんが許せなくなった。私ばかり丸裸で、サエキさんは何も私に教えてくれない、その境界線が嫌だった。だから大切だって言って貰ったのに、信じられないのが嫌だった。

…そうだ。私、サエキさんが秘密にする事が嫌なんじゃなくて、言ってくれた気持ちに確信を持ちたかっただけなんだ。その理由を知って、安心したかったんだ。私達の関係の、なぜ世話を焼いてくれて、大切に思ってくれるのかの証拠を。あの瞳の奥の感情の意味を教えて欲しかったんだ。


だとしたら、今私がやるべき事は。


「サエキさんに会いたいです。会わせて下さい」

「…それ、約束と違わない?」

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