死神のお仕事

突然の申し出に、セナさんがジロリと睨むように私を見た、その時だった。急な着信音が私達の間に割り込み、私は自分のスマホを確認した。私のものでは無い。


「…ハイ。はーい、すぐ行きまーす」


着信があったのはセナさんのもので、面倒気に返事をしながら彼はすぐに切り、溜息を一つ。


「ほら、あかりがグズグズするから時間になっちゃった。行こ」


ぶすっと顰めっ面のセナさんが着いてこいと扉を出るのでそれに続いた。そういえば人に会わせる、みたいな事を言ってたような…それにしても、薄暗い。

扉を出た先は真っ直ぐに伸びる廊下があり、左右に点々と扉がある。その先の行き止まりにも、扉が一つ。

トントンと、セナさんは突き当たりの扉をノックしてから部屋に入った。診察室。そうだ、さっき診察室へ行かないと、みたいな事を言っていた。

部屋に入ってすぐパソコンとデスクが壁際に置かれていて、その反対側にはベッドが一つ。正に病院の診察室のような所だった。

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