王子なカノジョと姫なカレ


「庵治さん。どうかし、」

「――ここにいたのか、ハル」

突然響いた声。

女の子たちが道を開けるようにすると、そこから出てきたのは怜だった。


「こんなところまで来てどうしたの? 怜」

「別に。帰るぞ」


左手をぱしりと掴まれてそのまま教室の方へ引っ張られる。

見た目からは想像できないくらいの力強さに私は目を丸くする。

「へ!?ちょっと…あっ、じゃあね媛山くん」


やっぱり、怜も男の子なんだな…。

手を掴まれたまま廊下を歩く(というか、引っ張られる)

1つの空き教室に入った怜は、やっとのことで私の腕を開放した。


「――怜?」

空き教室に入ったのはいいものの、私に背を向けたまま何も言わない怜。

そんな彼がほんの少し気になって声をかけると、怜はその場にしゃがみ込んだ。

「…した」

「え?ごめん、いま、なんて」


しゃがみ込んでいる怜の隣に私も同じよ
うにすると、怜は俯いたまま額に手を当てて目線だけでこちらを見る。

「心配…したんだからな、ばか」
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