リナリアの王女2
 「グレンさんには何でも分かっちゃうんですね・・・」
『そうでもないですよ。ただ、時期的にそうなのかと思っただけです』

「クラウドから聞いていませんか?私が紫色のドレスを着る覚悟が出来ないから、お披露目を延期すると」
『お披露目を延期?今初めて聞きました』
グレンさんは流石に予想していなかったのか驚いていた。
「クラウド、まだグレンさんに伝えてなかったんですね」

意外だ。
クラウドの事だからもうグレンさんに伝えていると思ったのに。

『なるほど。エリーゼ様がご自身を責めている理由は分かりました』
グレンさんからすると私の我儘は大迷惑だろう。
それが分かっていてもなお覚悟が出来ない私は本当に最低だ。

「迷惑・・・掛けてますよね・・・」
『エリーゼ様のお気持ちも分かりますよ。いきなりこの世界に来て婚約者が出来てしまうなんて普通では考えられないですもんね』
「私・・・クラウドの婚約者失格ですね」
『あまりご自身を責めてはいけませんよ。クラウド様が仰ったように、お披露目はいつでも出来ます。エリーゼ様のお気持ちが一番大事ですよ』
「私の気持ちが一番?一番はクラウドではないんですか?」

国王の意志を一番に尊重するものではないの?

『クラウド様から聞いていませんか?』
「え?何を・・・?」

何の事だろう?

『いいえ、お聞きになっていないのなら良いのです』
何の事か聞きたいが、グレンさんは話してくれそうになかったので諦めた。
『とにかく、クラウド様がお披露目を延期すると仰ったのなら、私達に異存はありません。それに、私個人の意見ではエリーゼ様が悩んでいる状態で婚約を進めるのは良くないと思いますしね』




「誰も私を責めないんですね・・・」




結局グレンさんも私を責めない。
皆が綺麗過ぎて自分がどんどん醜くなっていく。




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