俺様常務の甘い策略
でも、私は頭を振って颯介の胸に手を当てた。

女々しい女にはなりたくない。

ショックで颯介の胸の中で泣いてしまったけど、これ以上恥ずかしいところは見せたくない。私は強い女なはず……。

それに、もう空き巣はいない。ここは絶対に安全だ。

「大丈夫……多分……」

私がそう呟くと、颯介は抱擁を解いた。

ソファーからゆっくり立ち上がると、私は自分の寝室に向かう。

ベッドに横になって目を閉じるが眠りは一時間経っても訪れなかった。眠らなきゃって思うのに、余計目がさえてきて……。

冷たいベッド。

もう七月の初めだというのに、どうしてこんなに寒く感じるんだろう。手足の末端が冷たい。

壁時計に目をやると、時刻は午前一時をさしていた。

「参ったな。今日はスコット氏が来るのに……」

駄目だ。寝れない。身体の緊張が解けない。

颯介がいると落ち着くんだけど……。一人になるとどうしても空き巣男の事を考えてしまう。

肌に当たるナイフの感触が忘れられない。
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