俺様常務の甘い策略
「……それは……わかんない」

意地っ張りだって自分でも思う。

「ふふ。なかなか強情だね。もっと甘えればいいのに。俺の隣はいつもお前のために空けてあるんだけどな」

颯介がクスクス笑う。

「馬鹿……」

颯介の胸に頬を寄せ、私は静かに目を閉じる。

ここは温かくて優しくて……とても居心地がいい。それは、素直に認める。

でも、空き巣男にナイフで刺されそうになった時あいつの顔が浮かんだ事は……なんだかこいつに降服したようで悔しいから言わない。

今ならわかる。どうして颯介をライバルって枠に留めていたのか……。

気を許せば好きになるのを本能でわかっていたからだ。

好きになって他の女の子のようにあしらわれたくなかった。

恋人なんかじゃなくても、私だけは颯介と対等でいたかった。
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