俺様常務の甘い策略
「よくぞ言ったわ、沙羅ちゃん。定治さんの負けよ」

沈黙を破ってパチパチと手を叩きながら、お袋がフフっと笑う。この笑顔がなかなか曲者だ。

「颯ちゃんは私達の自慢の息子よ。まだ愚息呼ばわりするなら、私……実家に帰らせて頂きます!」

冷ややな目でお袋は親父に告げる。

「おいっ‼」

お袋の通告に慌てる親父。藤堂家で一番偉いのはお袋だと俺は密かに思う。

ニコニコしながらこの人は、この頑固な親父にしっかり止めを刺すのだ。

結局、親父はそれからおとなしくなり、何も文句を言わなくなった。夕食を食べてお袋とすっかり打ち解けた沙羅はメルアドを交換してお袋と次に会う約束までしていた。

お袋が俺に味方するなら心強い。沙羅が藤堂家の一員になっても上手くやっていけるだろう。

「そろそろ帰ろう」と沙羅に声をかけると、ずっと沈黙を守っていた親父が突然口を開いた。
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