俺様常務の甘い策略
「そうかな?俺に怒ってる時は別だけど、俺の事見ようとしないよね?昨日もそうだった」

それは、質問ではなく断定。昨日の夜、バーに秋月を連れて行った時も、彼女は必死に俺との距離を取って、隙があればすぐに逃げて帰ろうとした。

まるで疫病神のような扱いに正直ムッとした。

俺の言葉が図星なのか秋月が黙り込む。

「どうしてかな?気になるんだけど」

秋月にゆっくり近づいて彼女との距離を詰めると、彼女は数歩後ずさった。

「ち、ちょっと……。藤堂、近い!」

壁際に追い込まれた彼女に逃げ場はない。

「何か理由があるから俺を見ないんだよね。何でなの?」

ドンと壁に手をつき秋月を追い詰めると、彼女はゴクリと息を飲む。

「……気のせいよ。ほら、早くしないと役員会議始まるわよ!」

俺が秋月の顎を掬い上げるように持ち上げると、彼女の目が泳ぐ。

俺から逃げたくてしょうがないのだ。
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