俺様常務の甘い策略
「……上手く逃げるね。褒めてあげるよ。でも、大学の時のようにずっと俺を避けられると思ったら大間違いだよ」

俺が秋月の唇を親指の腹でゆっくりなぞると、彼女の身体はビクンと震える。

驚いたように見開かれた彼女の瞳は揺れていて、もはや動揺を隠せない。

そう、それでいい。もっと、俺の事を意識すればいい。

「と、藤堂~、人をからかうのもいい加減にしなさいよ!」

強がってはいるものの、俺が顔を近づけると秋月の声が弱々しくなる。

この程度の事で怯むなんて……男とまともに付き合った事が本当にないんだな。

クスッと笑って乱れた秋月の髪を手櫛でさっと整えてやると、秋月は警戒しながら俺の顔を見た。

「秋月、髪が乱れてる。社長秘書ならドタドタ廊下を走り回るなよ。ひょっとして、俺がお前にキスするとでも思った?」

俺が悪戯っぽく微笑むと、秋月は唇を噛み締めながら拳を握り締める。

「藤ー堂ー、あんたなんかハゲろ!早く会議に行け~!」

秋月が顔を真っ赤にしながら声を上げて怒る。
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