**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


「これあげる!」


しぃにそれを差し出すと

彼は不思議そうに首をかしげた

なんか子犬が困ってるみたいで可愛い



「しぃなら乗り越えれると思って」


言わなくてもしぃは分かってる

"土星"の意味くらい知っている



「試練…ね。ひなたが一緒にいてくれるからできるよ。」


私としぃは二人で一つ

そう思ってるのは私だけじゃない

しぃも同じ気持ちだよね

しぃは私を金星のビーナスだと言った

でも私はそんな大したものじゃない

ビーナスなんて私とは不釣り合いだ

だけど、そんな人に私もなりたい

あなたの未来を照らすたった一つの太陽に



「つけてくれる?」

「もちろん!」


しぃが甘えてくれるのが嬉しい

飲み物を買いに行った風斗たちは

私たちに気を遣ったのかまだ帰ってこない


「しぃの髪サラサラだね」

「そうかな」


ずっと撫でていたくなるような

なびく髪がとても綺麗

ワックスなんか使っていなくても

そのまんまの自然なしぃが私は好き



「大切にするね」


たった一瞬のキスも

窓に反射して

その姿が自分でも見えて少し照れくさい

でもその一瞬はスローモーションみたいで

ゆっくり時間が流れたみたいだった


もう1回、もう1回って欲張りになる

いつの間にこんな欲張りになったのかな?

抑えきれない気持ちが溢れ出す

しぃに触れたくて、抱きしめたくて


「俺はどこにもいかないよ」


私の不安が

しぃに伝わっていたことに今更気づく

そんな不安をかき消すように抱きしめてくれた

しぃの腕の中が一番好き

抱きしめられてる時が一番好き

だってしぃの鼓動が聞こえるから

ちゃんとここにいるんだって感じれるから

このまま時が止まってしまえばいいのに______



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