めくるめく恋心
グッと顔を近づけられて、後ろに後ずさった。


「どっかで見た事あると思ってたんだけど、やーっと思い出した! 早瀬君と付き合ってたっしょ!?」

「…………。」


みんなの驚いている声が一斉に耳に入ってくる。

まさかこんな展開になるとは思っていなくて、私自身も驚きすぎて言葉が出てこない。


「何度か二人でいるとこ見かけた事会ったんだよね。 早瀬君ってばファンの子なんてそっちのけで、彼女一筋って感じだったからそん時の事チョー印象に残ってる。」

「結子〜、チアの事でちょっと確認したい事あんだけど〜!」

「オッケー! 今行く〜!! んじゃ、私もう行くわ〜、チア負けないからね!!」


微妙な空気を作るだけ作って、結子先輩は呼ばれるがまま行ってしまった。

_気まずい。


「今の話しマジ?」


驚いた顔のままの愛に聞かれて、私は観念した。

_隠すことではないし、ね……。


「幼馴染なんだよね。 付き合ってたのは中二の夏までだよ。 ニューヨークに行ってからは連絡取ってないし、今は連絡先も知らないよ。」


ハッとした顔をする愛は、気付いてしまった様だ。私の失恋相手だという事に。



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