風は囁く「君と輝きたいから」
何も言わずに聞いている緒方さんが、落ち着いているように見えて、苛々する。

周桜くんの演奏が、いつ終わったのかさえ、気づかなかった。


「千住……大胆なことをした、それは自分が1番よくわかってるんだ」


頭の上に降ってきた周桜くんの声。
息が止まりそうだった。


「自分のことだけなら、何を言われても構わない。耐えていた……だけど、母のことまで書かれては黙っていられなかった。母がどれほど悩み苦しんでいるかを見ているし、腱鞘炎の辛さは僕自身も知っているから」


「でも……」


「リリィが、どれだけ気にかけてくれていたかは知ってる。リリィの日記は何度も読んだ……10年分の思いはここにある」

周桜くんは言いながら、胸にそっと手を当てた。


「母の思いもリリィの思いも、この手で奏でる」


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