期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
「それも他人行儀すぎて嫌だな。下の名前で呼んでよ」
下の名前か…。
下の名前。
ん?
あれ?
下の名前は忘れたな。
「下の名前なんでしたっけ?」
「社長の名前も覚えてないなんてクビだな。」
真顔で言うから焦る。
「えっ⁈ちょっと待って下さいよ」
慌てて考え込むあたしにくすくす笑いながら「千洋(ちひろ(だよ」と囁く。
「あー、今ちょうど思い出したところでした!」
あからさまに手を叩いて見せた私に彼は「君といると退屈しないな。」なんて笑う。
若社長は会社で厳しい顔をしているせいなのか家だとよく笑う。
誰も知らない若社長の一面を知ったような気分になって少しだけ嬉しい。
「僕はちゃんとちょこちゃんの名前知ってたのに。ひどいよね。」
「それは…あの…私、物覚えが悪いんです。」