『雲に隠れし夜半の月』
そして、式部は、この学院生活に慣れていく。
仲の良いお友達も増えていた。

昼休み時間、
例によって、若草四郎のところに、山栗沙也加がやってくる。
『なんてコッタ』を差し入れする。

式部は、一ノ瀬直子に聞いてみる。

「そのネーミングは、可笑しいね、バナナプリンでいいんじゃない?」
「それじゃ、つまらないでしょう、」

湊が口を挟む。「あんたに聞いてないんですけど」と式部は、思っていた。

「それに、こんな物もあるよ、『そんなバナナ』、笑

湊が言う、『そんなバナナ』は、バナナをスライスしてカステラで挟んで、生クリームいっぱいに盛ってチョコシロップをかけた物である。
これは、限定品でないので、あまり生徒から感心がない。
やっぱり、限定品というものに魅かれるのであろう。

一ノ瀬と式部は、机を並べて弁当を食べている。

「その出汁巻き玉子、一つくれない?代わりにタコさんウインナーをあげるから、」
出汁巻き卵とウインナーを取っ替えっこする。

「うーん、美味しいね、この出汁巻き卵、誰が作るの?」
「わたしだけど、それがなにか?」

「いやいや、だいぶ日本離れてるわりには、日本的ね、って、」
「これは、ママ仕込みで、」
「そうなの、きっとママさんは、日本美人かな?」
「そうかな、普通だと思うけど、」

「なになに、日本美人だって!」
湊が一ノ瀬と式部の話しに割り込んでくる。


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