『雲に隠れし夜半の月』
翌日、式部は、テニス部の入部手続きを済ませて、放課後の練習に入る。
新入部員はお決まりの球拾い。
式部は、イタリアに入る頃は、隣近所の女子生徒と良く練習相手をしていて、基本はマスターしていた。

それから、3日目の部活で、球拾いをしていたら、先輩の上杉健志郎が声をかける。

「君、二年生だよね、球拾いは止めて、こっち来て、」
「えっ!いいんですか?」

式部は、一年生の後目にコートに入る。

「それじゃ、こっちから打つから、打ち返してみて、」
「はい、よろしくお願いします。」

式部は、上杉先輩の言うとおりに、テニスボールをバックハンドで打ち返していた。

「凄い、、出来るじゃないか!前にやっていたかな?」
「はい、少しだけですが、」

「それじゃ、また、いくよ、」

上杉先輩は、対面コートからサーブを打ち込む。
それを式部は、バックハンドで打ち返していく、
それから、上杉先輩とのラリーが続く。

それを見ていた後輩たちは、「凄い!」と言っている。
しかし、先輩たちは、「なにあの子、生意気ね、」と苦々しく思っていた。

式部は、「こんなにラリーが続くなんて、きっと先輩は、手加減している、」
だろうと思っていた。

「はい、今日は、これぐらいにしよう。式部さんだっけ?」
「はい、上杉先輩、」

式部は、汗だくになり、ベンチのバックから、タオルを探していた。
だが、無い?
そうしていると、上杉先輩が
タオルを差し出して、
「はい、式部さん、」

そう言って、上杉先輩は、自分のタオルを貸してくれた。
式部は、有り難く使う。
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