『雲に隠れし夜半の月』
休み時間のチャイムが鳴る。担任の小野乃は、出て行く。

「ねぇ、式部さん、イタリアってどんなところ?」

いきなり、後ろの席の男子生徒が声をかける。

「どんなところって、それよりもなんで、男子がいるわけ?」
「あれっ、知らなかった?二年前から、共学になっているんだな、これが、」笑
「そうだったのか、だから、あの人もこの学校の制服を着ていたんだ!」
「あの人って?…無理もないよ、五年も日本離れてたんだからね、もしかしたら、裏門から入って来た?」
「はい、」
「そうか、裏門の看板治して無いんだ!勘違いするのも無理ないか、」
「ふぅーん、そうなの、」

この学校の制服は、ブレザーで、男子生徒は、スカートの代わりにズボンを履いていた。

「あっそうだ、俺、湊義経(みなとよしつね)よろしくな、ちなみに、コイツが若草四郎(わかくさしろう)。」

湊義経は、隣の席の男子生徒を指差して言う。
その若草四郎は、ペコリと頭を下げる。
なんだか無口のようだと式部香子は思った。

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