夢色約束
「はぁ〜楽しかったね‼︎」


「ああ」


「また…」

あ、そっか。

私と光に『また』なんてないんだ。

この夏が最後なんだ…


「香里奈?」

急に黙った私を不思議そうに見てくる光。


「、なんでもない‼︎帰ろ!」

私は笑顔を作って何事もなかったように前を向いた。


「…香里奈」

真剣な声で光が私を呼ぶ。


「…なぁに?」

お願い、光。

なにも、なにも言わないで。

泣きたくなるから。

苦しくなるから。


「…来週、ほんとにプール行くのかよ」

さっきとは打って変わって呆れたように言った。


「…行くよ〜〜」

私も一瞬ビックリしたけど、光がわざと話をそらしてくれたのだとわかって明るく言った。

いつからこんなに息苦しくなったんだろう。

いつからこんなに怯えるようになったんだろう。

私は、この夏が終わった時、なにを思ってるんだろう。
< 142 / 261 >

この作品をシェア

pagetop