そのままの君でいて
「たらりまー」
壊れ気味のドアが開く。康介だ。
「お。セレブめ。また暇潰しか」
「お土産買ってきたのに…たべないでよ?」
愛恵は、先程のケーキの箱から ジョーに ケーキを出した。
「あー。最悪だわ。せっかくおいしーケーキなのに、お皿がない」
康介のオンボロ診療所に ケーキを食べるための 皿やフォークなど あるわけがなかった…

「おいしそー。きれい」
ジョーの反応とは 真逆の反応を示す康介。

「わりーが、うちにはそんなもんねーよ。手で食えジョー。おっとこーなら~」
「最悪な診療所の最悪な医者だわ。最悪」
愛恵にジョーは
わらいながら 「フアックだよ」と言った。愛恵も「フアックだわ」と 言い直した。
2人は笑い出した。

「俺も食う」

康介はケーキの箱の中を覗くと プリンを取り出す。
ここのプリン うまいよな~ 康介は独り言をいいながら 食べている。
ジョーも康介に言われた通り というか 手以外 術がないから 手づかみで ケーキをほうばった。口の周りは、生クリームだらけ。

「ジョー。アハハ。口すごい」
愛恵は、その無邪気さに、笑いながら言った。 「やっぱりべいびーちゃんだな」
康介は 食べ終わったらしく 今度は タバコに火をつけた。
診察室で喫煙していいなんて… ほんとに いい加減だ…

愛恵には 康介のこんな部分が 案外 人間臭くて このショボクレタ医院を 好んでやって来る人がいるんだろうと、思う。
「ネェ、康介」
「ん?」
「今プリン食べたよね」「んー」

愛恵は企んだ目付きで 康介を見る。

「なんだよ?」

「ジョー。夕食なにたべたい?ケーキのお礼に先生がごちそうしてくれるみたい!」

「テメェ。きたねーなー。笑。ケーキと夕飯じゃ俺損じゃねーかよ」
「やだー。医者なんだからケチクサイこといわないのー。あーやだやだ」「それをゆーなら、オマエのほうが、桁がちがうっつーの。オマエ、コンビニ弁当とか食った事ねーだろぅ?」
2人のやり合いに ジョーは 一人 腹を抱えて笑っていた。
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