そのままの君でいて
2人は笑いあう。

「ねぇ、ジョー、私のこと、さんつけて呼ぶのやめて・・・気持ち悪い」
「?なんて呼べばいい?」

「何でもイイ」
「だって、愛恵さんは、愛恵さんだし、ドクターはドクターだよ…」

ジョーは、なんと呼べばいいのか、考えていた。母国では、呼び捨てや、ニックネームで呼び合うが、彼的に、ココでは ソレは 違うんだろうと思っていた。

「ジャー、愛恵」

「あははは。そのまんまじゃない…」

あまりのひねりの無さに。愛恵はうけていた。

「だめ?・・・うーん。マナ?とか?」

「いいよ。任せるから」

「うん。なれるまで、かんたんじゃないよ」

ジョーは、テラスに出ていいか聞く。

2人はテラスに出る。

「ホ~ッ。気持ちイイ~」
「涼しいね」

20階は、気持ちの良い風が、いい具合に吹いていた。

「ほんと、ここ、すごいよ。いい眺めだ・・・」

彼は、相当気に入ったらしい。

「また来ればいいわ」

「ほんと?」

「うん。いつでも、どうぞ」

「ありがとう、すごいうれしいよ」
そいって、ジョーは愛恵をハグした。

ただの、「ありがとう」のハグ。

彼の国の、スタイル。ハグやキス。深い意味が無い事のほうが多い。

愛恵は、彼のハグに、自分も腕を廻した。

体を、更に寄せた。

ジョーは、黙ったまま、愛恵に身を任せていた。

愛恵は、彼の胸に手を当てる。心臓の音が早い。

お酒も入っているからだろう。

手のひらを、だんだん、上へ…

彼女の両腕は、彼の首に辿り着く。

「愛恵さん?」

「…少しこのままで居て…。お願い」

ジョーは、自分の胸に、熱い液体が流れるのを感じていた。

愛恵は、彼の顔を見る事はないし、彼も愛恵の表情を確認できないが、

ジョーは、彼女の言葉通り、そのままでいた。

少し、変わったことといえば、ジョーの彼女を抱きしめていた腕が、力強よさを増した。
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