鬼姫伝説 Ⅱ
横になって目を閉じる。
でも、眠るのが怖くて寝付けない。
瞳を開けて、側に座る鬼羅の着物の裾を掴んだ。
「どうした?」
「・・・眠るのが、怖い」
「・・・」
「最近・・・、寝て起きたら違う場所にいる・・・。身体がずんと重いし・・・頭痛もどんどんひどくなって・・・」
こんなこと、鬼羅に話してもどうにもならないのに。
不安なんだ。
誰かに話していないと不安に押しつぶされそう。
怖くて。
自分の身体が、どうにかなってしまいそうで。
「夢を・・・見るの・・・。誰かが泣いてる夢・・・。鬼羅を・・・呼んでる夢・・・」
その声が誰のものなのかわからないの。
聞いたことのない声。
すごく悲しそうで、辛そうで、強い思いを感じるの。
「・・・千代なのだ」
鬼羅がつぶやく。