麗雪神話~青銀の王国~
彼女は旅装に身を包み、いつもの笑顔で空中庭園にたたずんでいる。

「幻じゃないですわよ、セレイア様。
大巫女ハルキュオネ様の表敬訪問の一団に、混ぜてもらってここまできたんです。ちょうど後継者を決める時期だともうかがって、それで。ディセル様は神人スノーティアス様として、我が一団に堂々と加わり、パレスに正式に滞在されることになったのですよ」

普段のセレイアであればそれでだいたい事情を呑み込めたはずが、今のセレイアにはその余裕がなく、まだ何もかもがよくわからなかった。

けれど大好きな親友の姿に、あふれる涙をこらえきれなくなった。

セレイアは泣きながら、フリムの腕に飛び込んだ。

「フリム―――!! どうしよう私、ディセルと喧嘩しちゃった…」

「そのようですわね」

フリムは優しい手つきで、セレイアの髪をなでてくれる。

「けんかなんて、あたりまえのことですわよ? 私だって、よく夫とけんかしますもの。だからそんなに気落ちしないで。仲直りする機会は、これからいくらでもあるんですから」

「そう…よね……」

抱きついていて、気が付いた。

あれだけ大きかったフリムのおなかが、すっかりスリムになっていることに。

「フリム! 赤ちゃんが生まれたの!?」

セレイアが目を丸くして問いかけると、フリムははにかむように笑った。
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