麗雪神話~青銀の王国~
「セレイアは…わかっていない」

「わかっているつもりよ!」

「いいや、わかっていない。俺が、どんなに―――」

ディセルが声を詰まらせる。

そして唐突に、セレイアの腕をつかんだ。

強い力だった。

男性の力だった。

セレイアは焦った。

だめなのだ。こういう触れ合いは、いけない。絶対にいけないと、頭の片隅が警鐘を鳴らす。

「…はなして」

自分でも情けなくなるくらいに弱々しい声が出た。

けれど、ディセルははなしてくれなかった。

そして一言、低い声でこうつぶやいた。

「………………わからせてあげる」

次に何が起こったのか、セレイアは瞬時に理解できなかった。

つかんだ腕を引き寄せられたと思ったら―――

唇に、生暖かい感触の何かが押し当てられた。

セレイアはただただ瞳を見開く。

ディセルの長い前髪が鼻先に触れている。

ちがう―――それだけじゃない。

ディセルの唇が、触れている…!?

口づけされている、と理解した瞬間。

セレイアの頭は完全に混乱した。
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