麗雪神話~青銀の王国~
とりあえず勧められるまま席に着き、食事を前に考え込む。

この料理に毒や何かが入っている可能性はないだろうかと。

眠り薬…は、この場合不要だろう。もとから気を失っていたのだから、眠らせてやりたいことが何かあったなら、とっくにやっているはずだからだ。

毒…の線もない。ここで殺してしまうくらいなら、とっくにやっているはずだ。殺さないということは、ほかに何かセレイアを使ってやりたいこと、目的があるに違いない。

それに、いつから食べていないのか知らないが、とりあえず腹ごしらえをしておかなければ、逃げ出すチャンスが来たときに思うように力が出せないかもしれない。

セレイアはそう結論付け、料理に手を伸ばした。

料理はどれも絶品で、こんな料理を、たったひとりのために大量に用意できる財力を持った人物が人さらいなのかと、あらためて敵の大きさを知った。

とりあえずセレイアは、何か武器が欲しかった。

本当は馴染んだ得物である槍が一番よいが、そんな大きい者は隠して持って歩けない。いたしかたなく、果物ナイフをひとつ失敬し、袖口に隠しこむ。幸いこの行動は、誰にも見とがめられなかった。

(こんなナイフひとつで何ができるかわからないけど、ないよりはましね)

腹も膨れ、武器も調達できた。あとはいかにして逃げ出すか、だ。
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