麗雪神話~青銀の王国~
通された謁見の間は、これまた豪奢なつくりをしていた。空まで届きそうな高い円天井。壁も床もすべてが混じりけのない銀色に輝いている。女性の王にふさわしく繊細なつくりをした美しい玉座へ続く、金糸銀糸の織り込まれた青い絨毯が鮮やかに目を引く。

ラピストリ候補の少女たちはずらりと並び、教えられた作法通りにひざまずいて、女王の登場を待った。

「女王陛下のおなーりー!」

侍官が良く通る声をあげると、さらりとした衣擦れの音と共に、至高の人物が奥の間から登場した。

作法的にまだ顔をあげられないセレイアは、女王の足元だけを食い入るようにみつめる。

硝子細工のような美しい、透き通った靴をはいているのがわかった。足元まで届くドレスのすそは、光をはじいてきらきらと輝く特上の布でできているに違いない。

そしてその視界に、女王と共に入室してきた青銀の獣の足が映る。

(…!! 陛下の青幻獣だわ!)

「ラピストリ候補の娘たちよ、よくぞ参った。
皆、顔を上げよ」

厳かな声は張りがあって若々しく、惚れ惚れとするほどよく通る。

セレイアたちは顔をあげ、女王の尊顔を拝謁した。

女王の隣に佇む、成体の青幻獣の姿も。

(わあ…!)
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