麗雪神話~青銀の王国~
「では、お尋ねします。
なぜ、この国は王位を世襲制になさらないのでしょうか?
陛下のご息女のレティシア王女は、女王にふさわしくご成長あそばされた、ご立派な方とお見受けしました。なぜ、ラピストリを王女にお決めにならないのですか?」

女王は顎に手を当て、ちょっと考え込むような間をおいてから、答えた。

「ふむ…そうだな。我が国の建国神話に、青幻獣に選ばれし乙女の伝説が出てくるのは、知っているかな」

「はい…少しなら」

「遥か昔。この国の基となった小さな国は、王位争いで乱れていた。続く内乱で、国は疲弊しきっていた。崩壊寸前にまで荒廃し、民は苦しんでいたという。
そこに、青幻獣がひとりの乙女を伴って現れた。そして乙女を新たな王とするようにとのお告げをくださった。お告げの通りに乙女を王とすると、すべての争いが瞬く間におさまり、国は崩壊の危機を免れたという。
その時より、我が国の王位は青幻獣に選ばれし乙女が継ぐと、決まっている。もし違えれば民の心は離れるだろう。だから伝説に背いて王位を世襲制には、できないのだよ」

民の心。

それは確かに、国を想うなら何よりも優先されるべきことだ。それを失わないために、セレイアは長年嘘のお告げを告げなければならなかったのだから。
< 52 / 172 >

この作品をシェア

pagetop