麗雪神話~青銀の王国~
フードの男が手綱をさばき、停止しようとするも、青プミールは言うことを聞かないようだ。そのまま軽く壁面に激突した。

「いたた…セレイア、大丈夫?」

その声は、紛れもなくディセルだった。

本当に来たのだ。

警備をかいくぐって。

セレイアは思わず苦笑した。

「…そっちこそ。こんな無茶をして」

「時間がないんだ。今、サラマスが陽動作戦で兵たちを引き寄せてくれているから。急いで、俺の後ろに乗って。ちょっと危ないけど、乗れる、よね?」

「…乗るわ!」

どんなに危険でも、ディセルがいるから大丈夫。そう思えた。

セレイアが窓から青プミールの後ろに飛び乗ろうとした時だった。

「待て! 賊め! セレイアに手出しはさせぬ!」

知った声と共に、鋭い槍の攻撃が目の前のディセルを襲った。

間一髪、ディセルは槍をかわしてのけぞる。

しかし青プミールと窓の間に距離が空いてしまい、セレイアは飛び移ることができなくなる。

「セレス!」

なんて厄介な相手に気付かれてしまったのだろう。

計画の失敗よりも、ディセルの命の危険に肝が冷えた。
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